「娘にここのパンを送ってやりたい」

 

ある晴れた日に、常連のお客様がお店に来られた際に言いました。

詳しく聞かせていただくと、娘さまがご結婚されて仙台にすまれているそうで当店のパンを食べたいと言っていただいているとの事。


娘さまの幼少期に、当店がパンを卸させていただいていた近隣保育園に通っていたそうで、物心ついた時から大人になるまで当店のパンを食べていただいており、「引っ越しした今もあそこのパンが食べたくなるから定期的にパンを送ってほしい」と言って頂いたとの事でした。

とても嬉しくありがたいお話しで、パンを焼いていてよかったという瞬間でした。

後日いつもと変わらないパンを焼き仙台へお届けさせていただきましたが、後日お父様が来店し言いました。

「『おいしかったけど、お店で買った焼きたてとはやっぱり違うね』と娘が言っていた」と残念そうに話していたとの事。

 

とても残念でした。


今まで保育園に提供していたパンや、店頭でお客様に買って頂いていたパンは焼いた直後のもので、それをずっと召し上がって頂いていたので焼いた翌日に配送されたパンとは風味が全然変わってしまっていたのだろうなと思いました。


やっぱりパンは時間がたてば立つほど、どうしても水分が失われてデンプンが劣化した状態のものが届いてしまいます。

 

どうにか焼きたてを閉じ込めて配送できないか

 

そう考えているところ、現在利用している急速冷凍技術に出会いました。

試しに焼いてすぐ急速冷凍したものを1週間保管し、スタッフ全員に食べてもらい「いつ焼いたパンだと思う?」と聞いたところ、全員が「今日」と答えました。

その時にこれなら店頭に買いに来られたときと同じ状態のパンがお届けできると確信しました。


そこからどういったパンが冷凍に向いているのか試作を繰り返し、冷凍パンをお客様へ定期的にお送りするようになりました。

お客様からは「大満足です。以前食べていたパンよりもおいしいかもしれない」というお声も頂きました。笑


その後、解凍した時に一番おいしく召し上がれるように店頭の商品とは違った、オンラインショップだけのリベイクに最適な商品を作る事となりました。



おかげさまで27年間

 対面販売しかしてこなかった当店ですが、お客様のご要望からきっかけを与えていただきオンラインショップをオープンする事となりました。

 

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